
先日救急の日がありました。それにちなんで昨日に引き続き救急に関しての記事を投稿したいと思います。最後まで読んでいただけると幸いです。
ある冬の夜のことでした。
「おばあちゃんが倒れて意識がないんです!」という通報を受け、私は現場に向かいました。
慌てた声、泣きそうな家族の表情。リビングには、こたつの横で倒れている高齢の女性。
私たちはすぐに意識レベル、呼吸、脈拍を確認し、処置を始めました。
処置をしながら、ご家族にこう聞きました。
「状況を教えてください?持病はありますか?」
すると、ご家族はこう答えました。
「え?それって必要?早く病院へ運んでください。どこの病院へ行くのですか?」
その瞬間、私は「ああ、またか…」と思いました。
実は、救急隊は“なんでも決めてくれる存在”ではありません
よくある誤解のひとつが「救急車に呼べば、すぐに病院に運ばれて、優先的に処置が受けられる」というものです。
でも、現実は少し違います。
私たち救急隊は、現場での情報や傷病者の状態を見ながら、傷病者の病態や緊急度を判断し、傷病者に合った医療機関を選定し連絡を入れます。
「〇〇歳、女性、意識低下、既往〇〇あり」
「受け入れ可能ですか?」
…というやり取りを繰り返すのです。地域によってまちまちですが、実際はもう少し詳しい内容を入れます。
しかし、夜間や休日など、どの病院も満床・診療科専門外といったことは珍しくありません。
そんなとき、病院がすぐに見つからず、搬送までに時間がかかるというケースが実際に起こります。
「なんでそんなに時間かかってるの!?」と怒鳴るご家族もいます
気持ちは分かります。
大切な家族が倒れている。早く助けてほしい。
その一心で、焦ってしまうのは当然です。
でも、私たち救急隊も、1秒でも早く受け入れてくれる病院を探すために必死です。
その裏側を、ぜひ知っておいてほしいのです。
私が伝えたいのは「事前に知っていれば、防げる混乱がある」ということ
もし、家族と「かかりつけ病院」について話していたら?
もし、既往歴や服用中の薬をメモして冷蔵庫に貼っていたら?
もし、救急車を呼ぶ前に「#7119」などの相談窓口で一度状況を伝えていたら?
…その数分が、搬送時間や処置の判断を大きく左右する可能性があります。
家族を守る準備は「特別なこと」ではありません
救急救命士として、私は現場で何度も「もっと早くこれを知っていれば…」という後悔を見てきました。
でも、その多くは、「知ってさえいれば」防げるものでした。
あなたのご家庭では、何かあったときの“備え”はできていますか?
「うちは元気だから大丈夫」ではなく、
「いざというときの話、しておこうか」と一言交わすだけでも十分です。
最後に
私たち救急隊は、いつでも全力で駆けつけます。
でも、本当に命を救うのは、“その場にいるあなた”の最初の行動かもしれません。
どうか、今日という日をきっかけに、
家族で「救急のこと」について、話してみてくださいね。

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