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👨‍🍳救命士パパの料理哲学

「父親の背中は、台所にもある」

「お父さん、今日の味噌汁ちょっとしょっぱいよ!」
夕食の席で、長男がそう言って笑った。
その一言が、なぜか嬉しかった。
昔の俺なら、仕事から帰ってきて疲れ切って、台所に立つ余裕なんてなかった。
だが今は違う。家族の笑顔を見るために、フライパンを握る。

思えば、子どもにとって“父親の背中”って何だろう?
昔は「働く姿」「汗を流す姿」だったかもしれない。
でも今の時代、背中を見せる場所は外だけじゃない。
台所にもあると思うんだ。

料理をしていると、家族との距離がぐっと近くなる。
鍋をかき混ぜながら、子どもの学校の話を聞く。
味見をしながら、妻の今日の疲れを感じ取る。
そんな時間が、どんな会議よりも大切に思える瞬間がある。

「料理なんて女の仕事だ」なんて言葉、もう昔の話だ。
俺は思う。
料理は“家族の命を守る最前線”だ。
救命士の現場で“命をつなぐ”ことを学び、家庭では“心をつなぐ”ことを学んだ。
どちらも、本気で向き合わないと結果は出ない。

包丁を研ぐ音。
味噌汁の湯気。
フライパンの油の音。
それらすべてが、家族の記憶に刻まれていく。
俺がいなくなった後も、「あの音、懐かしいな」と思い出してもらえたら、それで十分だ。

父親が家事をすることは、家族に“完璧”を見せるためじゃない。
“寄り添う姿勢”を見せるためだと思う。
「父さんも頑張ってる」「不器用でもやってみる」——
その姿が、子どもにとっていちばんの教科書になる。

料理は小さな行動だけど、
その中には「思いやり」「忍耐」「工夫」……人生のすべてが詰まっている。
焦がしたっていい。失敗したっていい。
その背中を、子どもはちゃんと見ている。

俺は、救命士として命を救ってきた。
でも今、父として守りたいのは“家族の笑顔”だ。
台所という日常の現場で、今日もエプロンを締める。

父親の背中は、
仕事場だけじゃなく、台所にもある。
——それを、これからの時代に伝えていきたい。

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