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救命士パパの料理哲学・第3弾 「味付けは人生だ」

料理、特に汁物を作るとき、いつも迷う。
「ちょっと濃いかな?」「薄いかな?」
味見をしては、しょうゆを足し、味噌を足し……そのたびに思う。


人生も同じだな。

若いころは、何でも“濃い味”が好きだった。
仕事も遊びも、全力。
寝る間も惜しんで走り続けてきた。
救命士として、真夜中だろうが嵐だろうが出動し、
「命を救うこと」だけを信じてやってきた。

でも、50を過ぎて気づいた。
濃い味ばかりだと、疲れる。
薄味の良さもある。


静かな時間、家族と囲む食卓、何気ない会話。
そういう“薄味”の瞬間に、実は一番深い旨味があるんだと。

味付けって、不思議だ。
同じ材料でも、作る人によって全く違う。


しょっぱくても“愛の味”なら美味しいし、
完璧でも“心がこもってない味”は、どこか寂しい。
だから、正解なんてない。
大切なのは、“誰のために作るか”だと思う。

人生もそう。
完璧なレシピなんてない。
甘い時期も、苦い時期も、全部ひっくるめて「自分の味」。
失敗した日も、焦がした夜も、
後から思えばそれが“ちょうどよかった”と思える時が来る。

仕事で落ち込んだ日、
家族とすれ違った夜、
それもきっと、人生の味を深めるスパイスなんだろう。

最近、三男が俺に言った。
「父さんの味噌汁、いつも同じ味がするね。」
それを聞いて、少し嬉しかった。
派手じゃないけど、心が落ち着く味。
きっとそれが、“俺の味”なんだと思う。

味付けは、経験で変わる。
そして経験は、愛情で深まる。
焦ってもうまくならない。
でも、向き合えばちゃんと応えてくれる。

――人生も同じだ。
しょっぱくてもいい。
薄くてもいい。
誰かの笑顔を思って作った“味”なら、それが最高の人生の味付けになる。

今日も鍋の前で、味見をする。
「うん、ちょうどいい。」
それは料理の味じゃなく、自分の人生に向けた言葉でもある。

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