街を歩いていると、ふと耳に飛び込んでくる。
おせちのCM、クリスマスのごちそうの映像、どこからともなく流れるジングル。
気づけば空気までキラキラしているような気がする。
ああ、またこの季節が来たんだな、と胸がワクッとした。
視界の端に映るイルミネーション。

その光を見た瞬間、俺は子どものころの自分を思い出した。
家族そろってこたつに入って、みかんの皮の香りがふわっと広がって。
兄弟でテレビの特番に笑っていた、あのなんでもない夜。
救急の現場で24年間働いていたころ、年末はむしろ忙しさが増す時期だった。
真夜中だろうが嵐だろうが出動は続く。
「みんなが家族と過ごしている時間なんだろうな」と思いながら、サイレンの音を響かせて走っていた。
だからこそだろう。
今、こうして家族が同じ屋根の下で同じ時間を過ごせることが、
俺には何より特別に感じられる。
年末年始の休みって不思議だ。
お盆休みもある。連休もある。
でも年末だけは、“特別なことが一気に押し寄せる”。
カレンダーの最後のページ。
街のざわめき。
テレビから流れる「今年もあとわずかですね」の声。
それらが一つひとつ、優しく背中を押してくれる。
「今年、俺はちゃんと歩いてこれたのか?」
「来年は、どんな一年にしたい?」
そんなふうに、自分と向き合わざるを得なくなる。
そして気づく。
人は、“区切り”があるから前に進めるんだ。
家族と過ごす年末は、その区切りを一緒につくる時間なんだと。
食卓に並ぶごちそうの香り、
子どもたちの弾む声、
妻が「今年も一年お疲れさま」と微笑む瞬間。
それらが、俺に教えてくれる。
「ああ、来年もまた頑張れるな」と。
仕事のために生きるんじゃない。
家族と幸せになるために働いているんだ。
そんな当たり前のことを、
年末のあったかい空気が思い出させてくれる。
区切りは、時に痛い。
時に寂しい。
だけどその先に、新しい景色が必ずある。
だから今日も俺は思う。
なんか、年末の雰囲気って……本当に良い。
人を前に進ませる力がある。
来年もまた、この光の中で家族と笑えますように。

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