年末になると、どうしてこんなにも事故が増えるのか。
救急救命士として24年間、出動し続けてきた私には、どうしても忘れられない風景がある。
冬の冷たい空気がフロントガラスを曇らせ、道路には車列が続く。
みんな急いでいる。
「少しぐらい大丈夫だろう」
「早く帰りたい」
そんな“わずかな油断”が、事故の引き金になる。
そして、冬休みに入った小学生・中学生が街に増える。
自転車に乗る子、友達とふざけながら歩く子。
年末の浮き足立った空気と、子どもの無邪気さ。
その二つが重なると、事故は一瞬で起きる。

忘れられない多重事故
数年前の年末。
指令が鳴った瞬間、胸がざわついた。
「重傷者多数──」
現場に着くと、赤い警告灯が雪のような冷気を切り裂き、路面には割れたガラスが散乱していた。
車のドアは歪み、金属が軋む匂いが鼻を刺す。
泣きじゃくる家族の声、呆然と立ち尽くすドライバー。
そして、子どもだ。
意識がない小学生。
呼吸が浅く、体が冷えきっていた。
子どもが絡む事故は、どれだけ場数を踏んでも慣れることはない。
むしろ、親になってからの方がつらい。
「もし自分の子どもだったら」と考えてしまうからだ。
事故は、“気のゆるみの隙間”に忍び込む
現場を去るとき、私はいつも思う。
「事故って、ほんの数秒なんだよな…」
少しの不注意。
少しの焦り。
少しの油断。
その“少し”が、
家族の未来を奪ってしまうことがある。
そして、事故の当事者はみんな言う。
「まさか自分が事故を起こすとは思わなかった」
そう、事故はいつも“自分だけは大丈夫”の影からやってくる。
だからこそ、年末は“安全の余白”を持ってほしい
年末は忙しい。
いつもより気持ちが焦る。
だからこそ、意識してほしいのはたった一つ。
『1秒の余裕が、人の命を救う』
・スピードを5km落とす
・横断歩道で5秒待つ
・子どもを見かけたらブレーキに足を乗せる
・「大丈夫だろう」をやめる
たったこれだけで、救えた命を私は何度も見てきた。
私の想いとつながること
私はいつも思う。
自分が幸せにならなければ、他人を幸せにできない。
交通安全も同じだ。
“自分が安全であること”が、周りを安全にする。
自分が守れば、誰かの家族の幸せを守れる。
年末こそ、守ってほしい。
あなた自身を、家族を、そして誰かの未来を。

コメント