
「もっと主体的に動いてほしい」
経営者、
管理職、
救急隊長、一度はそう感じたことがあるはずです。
現場は忙しい。
人は足りない。
ミスは許されない。
それでも、なぜか――
職員が“自分で決めない”組織になっていく。
今日は、その正体についての話です。
職場で、よくあるワンシーン
こんな場面、ありませんか?
現場の職員が少し不安そうな顔で聞いてくる。
「この支援内容で進めようと思うんですが、
どうでしょうか?」
内容を聞くと、
大きな問題はない。
リスクも想定内。
だから、ついこう言う。
「うん、それでいいよ」
忙しい中での、
ごく自然な判断です。
むしろ、
「現場を信頼して任せている」
そう思っている方も多いでしょう。
でも――
福祉・医療の現場ほど、この一言が効いてしまう。
「それでいいよ」が作る、静かな依存構造
このやり取りが続くと、
職員の頭の中では、こんな思考が積み重なっていきます。
- 最後は上司が判断する
- 聞いておいた方が安全
- 責任を背負わなくて済む
結果どうなるか。
✔ 上司がいないと判断できない
✔ 小さなことでも確認が増える
✔ 現場のスピードが落ちる
そして、管理者(上司)はこう思う。
「最近、職員が受け身だな…」
でも実は、
受け身にしてしまったのは、組織の仕組みなんです。
救急の現場で、俺が一番怖かったこと
24年間、救急救命士として現場に出てきました。
一番怖かったのは、
血でも、事故でもない。
**「判断を人に委ねきった隊員」**でした。
・指示がないと動けない
・自分で決めるのを避ける
・責任を負うことを恐れる
そんな状態では、
命の現場は回らない。
福祉・医療も同じです。
「安全第一」の名のもとに、
判断を上に集めすぎると、
現場は止まる。
主体性は「教育」ではなく「構造」で決まる
よく聞きます。
- 研修を増やせばいい
- 意識改革が必要だ
- 若い職員の意識が低い
でも、正直に言います。
主体性は、教育では育ちません。
育つのは、
「自分で考えていい」
「判断していい」
そう感じられる構造の中だけです。
福祉・医療・中小企業で効く、たった一つの変え方
今日からできることは、これです。
答えを返さず、判断を返す。
例えば──
「なるほど。
そこに至った理由を教えてもらっていい?」
「他にも選択肢があるとしたら、
どんな支援が考えられると思う?」
これだけです。
正解を言わなくていい。
結論を奪わなくていい。
考えたプロセスを、言葉にさせる。
すると職員の中で、
少しずつ変化が起きます。
- 「自分の判断だ」という感覚
- 「この支援に責任を持とう」という意識
- 「次は先に考えてから来よう」という姿勢
これが、
福祉・医療の現場に必要な主体性です。
最後に、管理する立場の方へ
「職員が主体的じゃない」
そう感じたとき、
一度だけ、こう自問してみてください。
俺は、
判断する機会を
ちゃんと現場に渡していただろうか?
自分で考えられない職員は、
利用者を本当の意味で支えられない。
現場を信じるとは、
丸投げすることじゃない。
考える責任を、そっと返すこと。
その一言の変化が、
現場と経営、両方を確実に楽にします。
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